ブレーキオイルDOT4と5の違い!キャリパーとマスターの指定が違うときは?

バイクの安全性を維持するためには絶対に忘れてはいけないのがブレーキですよね?

 

このブレーキを作動させるのに必要なのがブレーキオイルです。

ちなみに一般的にはブレーキオイルとよく言われますが、正式にはブレーキフルードと呼びます。

 

なぜなら、オイルとはエンジンや駆動系などに使う「潤滑油」のことを言い、フルードとは油圧システムに使われる「作動油」のことを言うからです。

 

「ブレーキフルード」はブレーキを押さえたときのちからをブレーキキャリパーのピストンに伝える役割りをしています。

なので潤滑はしていませんから、作動油「フルード」と呼ぶのがあっていますね。

 

 

今回の記事では、

ブレーキフルードの「DOT」の意味や、「DOT4」と「DOT5」の違い。

また、僕が過去に乗っていたバイクにはブレーキキャリパーとマスターシリンダーのDOT指定が違うものがついていたので、その時の状況を参考までにお伝えします。

 

この記事の内容

ブレーキフルードのDOTとは?

バイクのブレーキフルードにはよくDOT3・4・5などとありますが、このDOTとは規格のことです。

この規格によってブレーキフルードの沸点の高さが変わり、数字が大きくなるほど沸点が高くなります。

 

なぜ、沸点で規格を分けるのかというと、ブレーキをかけたときにはブレーキパッドやディスクローターの熱がフルードにも伝わります。

 

もしフルードが沸騰してしまうと、ブレーキフルードにエアがかんだ状態(べーパーロック現象)になりブレーキが利かなくなってしまいます。

 

また、

より高温に耐えられるDOTの高いものほどフルードの劣化が早く値段も高くなるといったデメリットがあります。

そこで規格を分けることによって自分のバイクにあった最適なものを選ぶことができるわけですね。

 

規格 主成分 ドライ沸点 ウェット沸点 用途
DOT3 グリコール 205℃以上 140℃以上 小中排気量の軽量車
DOT4 グリコール 230℃以上 155℃以上 大排気量の重量車
DOT5 シリコーン 260℃以上 180℃以上 寒冷地用やスポーツ走行用
DOT5.1 グリコール

 

ドライ沸点とは、水分を含んでいない新品時の沸点のことを言います。

対してウェット沸点は、大体1~2年ほど使用した状態といわれる吸湿率3.7%の沸点です。

 

水が沸騰する温度は100℃なので、フルードが水分を含むとその分沸点が下がってしまうことが分かります。

 

DOT4とDOT5の違いは成分!

ブレーキフルードのDOT4とDOT5には、先程お伝えした沸点以外に

  • DOT4=グリコール系
  • DOT5=シリコーン系

という成分に大きな違いがあります。

 

グリコール系

グリコール系のフルードは主にDOT3、DOT4などに用いられます。

 

特徴としては吸湿性が高く、水分を含んでも沸点を比較的高く維持するように作られています。

DOTが大きいほど沸点が高く反応もいいのですが、吸湿性がいいために水分を含んで沸点が下がってくるのでフルードの交換時期がどうしても早くなってしまいます。

 

また、

グリコール系のフルードは塗装面に攻撃性があるので、ガソリンタンクなどについてしまった時は出来るだけ早く水で洗い流す必要があります。

 

シリコーン系

シリコーン系のフルードは塗装を痛めることはないのですが、シールなどのゴムに対しての攻撃性が高い性質があります。

 

吸湿性がないのでブレーキフルードとしての性能が高い反面、フルード内に水分を含んだ時にはそのまま水滴として残ってしまい、フルード内で沸騰したり凍結してしまうことが起こるというデメリットも。

 

ハーレーでは長年シリコーン系のDOT5が使われていましたが、2005年あたりからはグリコール系のものが使われるようになっています。

 

DOT4とDOT5が混ざるとどうなる?

シリコーン系のフルードとグリコール系のフルードが混ざると、

  • マスターシリンダーやキャリパーのシールを痛める
  • ヘドロのような固形物が発生するなどして中で詰まる

といったことが起こり、下手をするとブレーキ全体をオーバーホールすることになります。

 

ではグリコール系でDOT5と同グレードのものはないのか?

というと、答えは「ある」です。

 

DOT5というのは当初グリコール系のフルードよりも優れていたシリコーン系のものにだけ与えられた規格でした。

ですが、その後グリコール系の性能が向上してDOT5の規格をクリアするフルードが開発されました。

 

先ほどお伝えしたように、シリコーン系のとグリコール系のものが混ざってしまうと大変なことになってしまいます。

そういったことを防ぐためにシリコーン系のものをDOT5、グリコール系のものをDOT5.1と表記するようにしています。

 

基本的にブレーキフルードの指定はマスターシリンダーのふたの部分に書いてあるので、自分の愛車にはどのブレーキフルードが入っているのか確認しておくのもいいかもしれませんね。

 

マスターシリンダーとキャリパーのDOT指定が違うとき

ここまでブレーキフルードのDOTや成分の違いについて説明しました。

 

ではこんな時はどうすればいいのか?

実は僕が乗っていたパンヘッドのリアブレーキはマスターシリンダーがハーレー用、ブレーキキャリパーは国産用のものが取り付けられていました。

 

マスターシリンダーはシリコーン系のものでブレーキキャリパーはグリコール系。

これってどのブレーキフルードを入れたらいいのか分かりませんよね?

 

僕のバイクの場合、ブレーキフルードはDOT4が入っていました。

多分作った方は、DOT5のフルードを入れるとDOT4に対応しているキャリパーのシールがダメになると考えたからでしょう。

 

肝心のブレーキの効きについては、大阪ー名古屋、大阪ー広島間を高速道路で走ってもとくに問題はありませんでした。

めったにない事だと思いますが、僕と同じようにマスターとキャリパーのDOT指定が違う方の参考までに。

 

ただし、DOT4とDOT5のフルードが絶対に混ざっていないことが前提です!

 

まとめ

今回はブレーキフルードの規格や成分について説明しました。

 

まとめると、

  • ブレーキフルードのDOTとは規格のことでDOTが大きいほど沸点が高いが劣化も早い。
  • ブレーキフルードにはシリコーン系とグリコール系があり、混ぜて使うことは出来ない。

 

今回説明したようにグリコール系のDOT4とシリコーン系のDOT5は水と油くらい全く性質の違う成分です。

ブレーキは命を守る大切なものなので、DOT4とDOT5のブレーキフルードは絶対に混ぜないようにしてください!

 

それでは最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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