どこの家庭にも1セットは必ずあると思われるプラスとマイナスのいろいろな大きさが用意されたドライバーセット。
普段なにげなく使っているかもしれませんが、どうしてネジにはプラスとマイナスの形があるのでしょうか?
今回はそんな素朴な疑問を調べてみたました!
この記事の内容
ねじの始まりはマイナスからだった!
ねじ自体の始まりは明確にはなっていませんが、紀元前からあったと言われています。
ものを固定するための利用が広まったのは1500年頃で、その頃は加工の難しさからネジ頭はマイナスのものばかりでした。
しかし、ねじの利用が広まっていくことで、マイナスドライバーでねじを回しているとドライバーの先が溝にそってずれてしまうなどの不満が出るようになりました。
その不満を解消するために生まれたのが、1935年に米フィリップ社が開発・特許をとったプラスねじでした。
プラスねじは、ネジ頭に十字の溝をつけることによって、ドライバーが横すべりする事もなくなり作業効率が格段に上がりました。
このことから、英語ではプラスドライバーのことをフィリップス・スクリュードライバーといいます。
簡単に言うと、元々プラスねじとマイナスねじの2種類が同時に作られたわけではなく、作業性の悪かったマイナスを改良して作られたのがプラスねじというわけだったんですね。
それではなぜ今でもプラスとマイナスのネジが存在しているのでしょうか?
次からはプラスねじとマイナスねじのそれぞれの利点についてお伝えしたいと思います。
プラスねじの利点
プラスねじの利点は
- ドライバーの軸がねじの中心にフィットする
- 片手で作業ができる
というものが挙げられます。
ドライバーの軸がねじの中心にフィットする
十字型の溝にドライバーの先がぴったりと収まることによって、自然にドライバーの軸がねじの中心にきます。
このため、ネジを回すときに芯が振れることなくスムーズに作業することができます。
また、ドライバーがねじの中心をしっかりととらえることができるので、マイナスドライバーのように横すべりすることがなく高速で回転する電動工具を使ってネジを回すことができます。
片手で作業ができる
プラスねじはドライバーにフィットするので、狭くて両手が使えないときはドライバーにねじをつけて片手で作業することもできます。
マイナスねじでは、片方の手でネジを持っていないと落ちてしまうのでこうはいきません。
マイナスねじの利点
最近ではあまり見かけることも少なくなったマイナスねじにも、ちゃんと利点はあります。
マイナスねじの利点は
- ネジ頭の溝にゴミがつまっても取るのが簡単
- 軟らかい素材のねじに使用される
- 調整するときに分かりやすい
というものがあります。
ネジ頭の溝にゴミがつまっても取るのが簡単
マイナスねじは
溝にゴミやサビなどの汚れがつまってドライバーが入らない
というプラスねじの弱点をカバーすることができます。
マイナスねじに水がかかっても溝にそって流れいきますし、ゴミがつまってもドライバーの先や爪楊枝などで簡単に取ることができます。
このため、マイナスねじはゴミや水気にさらされる屋外や、水まわりなどに使用されることが多いです。
軟らかい素材のねじに使用される
キャブレターに使う真鍮など軟らかい素材のねじは締めつけるのに強い力を必要としないので、力のかかりすぎるプラスねじを使うとネジをいためてしまいます。
こういったところにはマイナスの方が適しています。
調整するときに分かりやすい
ねじは単に物を固定するだけでなく、締め具合を調整するときに使われることもあります。
例えば、いったん締め付けてから
一回転と4分の1戻す
などといった時にはプラスよりマイナスの方が分かりやすいですよね?
まとめ
今回はなんとなく気になったネジ頭にプラスとマイナスの形がある理由。
また、それぞれの利点について調べてみました。
今回調べてみて分かったことは、
- 実はプラスねじよりもマイナスねじの方がかなり先にできていた。
- マイナスねじの作業効率を上げるためにプラスねじが開発された。
- マイナスねじにも利点はある
ということです。
個人的には、プラスねじができたのがねじの歴史の中ではごく最近だったことにびっくりしました。
最近では見ることも少なくなったマイナスねじも、シンプルな形だからこそプラスねじにはない利点があったんですね。
それでは、最後まで読んでいただいてありがとうございました。