ロングフォークチョッパーのカスタムパーツで、レイクツリーというものがあります。
トリプルツリーの交換でネック角を寝かせることができるやつですね。
国産アメリカンのカスタムでは、このレイクツリーを使ってネックを寝かせてからフォークジョイントでフロントフォークを伸ばす。
というのは結構定番じゃないでしょうか?
しかし、ただ闇雲に
「ネックを寝かせてフォークを伸ばす」
というのは、実はあなたのバイクの操作性をかなり悪くすることもあります。
今からそういうカスタムをしようと思っている方は今回の話を知っておいて損はないので、ぜひ参考にしてみてください!
この記事の内容
トリプルツリーを変えるとハンドルがブレる?
トリプルツリーを角度付きのものに変えてフォークを伸ばすと、
直進中にハンドルがブレたり、カーブの時にハンドルがまっすぐになろうとして押し戻される
というような話をよく聞きます。
全てのバイクがそうなるわけではないですが、カスタムのやり方によってはこういった症状がでてきます。
それにはトレールというものが深く関係しています。
トレールとは?
トレールというのは、フレームのネック角をそのまま真っ直ぐ伸ばした線とホイールの中心部分を通る地面から垂直に引いた線から調べることができます。
その時にできた緑の矢印の部分がトレールです。
トレールの量が多いと直進の安定性が増し、逆に少ないと旋回性が増します。
トレールのプラスとマイナス
このトレールが、先ほどの図のようにホイールから垂直に下ろした線の前側にきていればプラス。
逆に後ろ側になるとマイナストレールとなります。
こちらはトリプルツリーで角度を付けすぎて、マイナストレールになってしまったもの。
こうなってしまうと、最初に話した直進中にハンドルがブレる、カーブでハンドルが戻されるような症状が出てきます。
マイナストレールの危険性
ではなぜマイナストレールになるとバイクの操作性に問題がでるのか?
こちらについては、スーパーのショッピングカートや、台車などについているキャスターにたとえると分かりやすいです。
※緑の部分がトレール
あなたにも経験があると思いますが、このキャスターは写真左の方向に台車やカートを押すと真っ直ぐ進みます。
これがトレールがプラスの状態。
しかし、右側の方向に押すとどうでしょう?
「グリンっ」
となって、キャスターが反対方向に向きを変えたことありませんか?
これがマイナストレールの状態です。
マイナストレールになったバイクは、このキャスターのようにグラグラの状態で時速数十kmで走っているわけです。
これを考えると、ただ闇雲にネックを寝かせてフォークを伸ばすことがどれだけ危険なことか分かると思います。
もっと分かりやすく説明してみると
先程のキャスターの写真では右方向に進むほうがバイクっぽいので、頭がこんがらがってしまう方もいると思います。
それはキャスター角(ネック角)が0°なのでそう見えてしまうので、もっと分かりやすくこのキャスターに角度を付けてみますね。
進行方向→
これだとどうでしょう?
ネック角を真っ直ぐ伸ばした線と地面から垂直に引いた線が交差してプラスのトレールになってますよね?
逆にマイナストレールの場合は、
進行方向→
ネック角を真っ直ぐ伸ばした線が、垂直に伸ばした線と交差する前に地面についてしまいトレールがマイナスになっています。
これでなんとなく理解できたでしょうか?
マイナストレール問題の解決方法
ここまでトレールについてお伝えしましたが、トリプルツリーで角度を付けるのが絶対に悪いわけではありません。
最初に話したように、何も考えず
ただ闇雲にネック角を付けてフォークを伸ばす
ということをすると、トレールがマイナスになって操作性に異常が出てくるという話です。
この辺りはネック角やフォークの長さによって絶妙なバランスがあるので、トリプルツリーを変えてフォークを伸ばしたい方はバイク屋さんに相談するのが一番いいと思います。
それでも、
「自分はもっとネックを寝かせたい」
という方は、フレームの加工をするしかありません。
フレーム自体のネック角を変更すると
こんな感じでしっかりとトレールを確保することができます。
ただし、かなりの金額が必要になるのは覚悟しておいてくださいね。
まとめ
今回は、トリプルツリーを変えてフォークを伸ばした時の操作性とトレールの関係についてお伝えしました。
先程お伝えしたように、フロントフォークを伸ばすことやネック角を付けるのが悪いわけではありません。
しっかりと計算してトレールを確保すれば、ちゃんと走ってくれるバイクになります。
これから愛車をロングフォークにしたいと思っている方は、見た目だけでなく操作性にも気を配ってあげましょう!
それでは、最後まで読んでいただいてありがとうございました。